【小説の方法、現代マンガ論】
今や日本の現代小説やマンガは、世界中で読まれています。日本語のままで読まれることはもちろん、いろいろな言語に翻訳されてもいるので、日本語ができない人にも親しまれています。特に、芸術性の高いものについては、尊敬を集めていると言っても過言ではありません。それは偶然そうなのではなく、日本の小説/マンガが表現の方法において独創的であり、優れた点が多いからなのです。
私の研究テーマは、このような日本現代小説/マンガの表現方法を解き明かし、作者本人さえ気付いていなかったような、新しい読み方を創りだすことです。
もちろん、小説の「内部」を精査し、「外部」の事柄と関連づけて、十分な根拠をもって、新しい読みに至るのです。それにも関わらず、時々「読み過ぎ」だと言われたりします
。しかしそんなことは気にしていられません。楽しい読み方
(それはただ表面的に「面白い」ということではなく、自分に対して"変革"を強いるようなものです。)が、すぐそこで私を待っていて、それは「世界」に通じているのですから。
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書名:「容疑者Xの献身」
著者:東野圭吾
出版社:文春文庫
これはいわずと知れた、物理学者湯川学を探偵役とする「ガリレオ・シリーズ」の中の一冊で、シリーズ初の長編です。著者の東野圭吾は、この作品で直木賞を受賞しました。
人物の描写には多少、類型的なところもあり、会話もときどき、冗長に思われることがあります。推理小説としては、意外な犯人ということではないですし、特に奇想天外なトリックが使われているというわけでもありません。ではどこがいいのか、と言われそうですが、この小説は、二人の登場人物(湯川学と石神哲哉)の、学生時代に芽生え、その後20年以上会わなくても変わることのなかった、友情と尊敬の物語として読むことができるのです。彼らの再会のシーンや、いつも淡々としているこの二人が、最後に感情をあらわにするシーンなどが、小説としての読みどころです。この作品は「ガリレオ・シリーズ」のテレビドラマ版(主演は福山雅治)の延長線上で映画化され、そちらもいいものですが、原作とは少し違っていますので、映画と小説を比較するという楽しみもあります。
学生時代に得るものは、知識・技術・資格・学位など、いろいろありますが、その最大のものの一つが、友達です。表面上のものではない、本当の友情はお互いの尊敬と切磋琢磨から生まれます。これから大人になろうとする、大学に入ろうとする、そういう人たちに、ぜひ読んでもらいたいと思います。 |