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第二走者 基礎演習Ⅱ(藤岡ゼミ)

 2年生の藤岡ゼミでは、幅広い視野を手に入れることを目標として、社会福祉と直接関係するか否かにこだわらず、思考のトレーニングとしてさまざまな分野の本を毎年読んでいます。 これは3年次以降の専門的な学びをより有意義なものにすると考えています。2019年度の前期には、3冊の本を読みました(読む本は毎年変わります)。
1冊目は、異色の建築家である坂口恭平さんによる『現実脱出論』です。読み初めの頃は、多くの学生が、坂口さんの独特の思考方法に戸惑いを感じていたようでしたが、 読み進めるにしたがってそれにも馴染んでいき、読み終える頃には、現実の捉え方は多様でありうるということに面白さを感じていたようでした。たとえば「30人の生徒が教室に座って授業を受けているとする。 しかし、それは一つの教室ではなく、30人分の視点があるので30個の空間があるということになるのではないか」という見方、う~ん刺激的。
2冊目は、常識的な働き方を相対化する内容をもった伊藤洋志『ナリワイをつくる』です。伊藤さんは、「ナリワイ」の要素として「やると自分の生活が充実する」 「提供する人、される人が仲良くなれる」「自分自身が熱望するものをつくる」「個人ではじめられる」といったことを挙げています。伊藤さんが始めたナリワイの具体例としては、 遊牧民の生活の見習いをする「モンゴル武者修行ツアー」、結婚式の企画運営をする「木造校舎ウェディング」などが紹介されています。ほかにもいろいろなナリワイが挙げられていますが、どれも興味をひかれるものばかりです。
将来、学生たちがこの本に書かれていることを著者と同じように実践するわけでは必ずしもないと思いますが、この本に書かれている働き方についての考え方は、実際に社会人になった時のヒントになるんじゃないかと思います。
3冊目は、社会学者である土井隆義さんの『つながりを煽られる子どもたち―ネット依存といじめ問題を考える』です。この本は、SNSを中心としたネットコミュニケーションの広がりが、 人々のつながりをどのように変えてきたかといったことを問題にしています。学生たちにとっては非常に身近な問題であるので、高い関心を持ちながら読んでいたと思います。
以上が前期に読んだ3冊ですが、後期には、現在「アメリカで最も住みたい街」と形容されることもある、アメリカのオレゴン州にあるポートランドについての本を読む予定です。 ポートランドは、”Keep Wired!” (ヘンテコでいつづけよう!)という街のキャッチフレーズが象徴するように、新しいことを受け入れる雰囲気を強く持つ街で、多くの住民が住みやすさを感じ、 愛着を持っているようです。ポートランドを理解するキーワードには、ほかに「クリエイティヴ」「サステナブル」「フェア」といったものがあり、アート、環境問題への取り組み、クラフトビール、 コーヒー、アウトドアなどでよく知られています。このようなポートランドの特徴は、21世紀的な新しいライフスタイルや街づくりを考える上で大いに参考になるものだと思います。 後期にゼミ生たちと一緒に本を読んでいくのが楽しみです。

 

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真剣に本を読んでいます(イメージ写真)

※次号は石田ゼミへバトンを渡します。


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