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社会福祉学部専任教員の研究紹介 その5 葛西 久志 先生

~精神保健福祉士の専門職論~    

 社会福祉学部専任教員の研究紹介シリーズとして、第5弾は学部長インタビューでお届けします。
                             報告者 社会福祉学部長 石田 和男

石田: 葛西先生は精神保健福祉士の専門職論に関する研究がご専門だと思います。具体的にどのような研究を進められているか教えて頂けますか。

葛西: 精神保健福祉士は、国家資格が出来21年目を迎えます。専門職として確立し、社会的地位が得られたと認識すべきなのか、専門職として未だ不十分な状況であり、 社会的地位があまり得られていないと認識すべきなのか。精神保健福祉士の専門職としての意識構造の現状を明らかにし、今後、より専門職としての社会的地位が確立していくことの示唆を得るため、 どうしたらよいのかを明らかにしたいと考え、研究しています。

石田:先生は実際にソーシャルワーカーの臨床経験がおありになり、その経験を踏まえて研究ならび普段の学生教育にも携わられております。どんな場面での経験を生かされておられますか。

葛西: これまで、精神科病院をはじめ、生活訓練施設(現:地域移行型ホーム)、地域生活支援センター(現:地域活動支援センター)などで、主に精神障害者とかかわってきました。 当初、入院治療完結型の医療機関に所属していたため、受診・入院援助から入院生活における療養上の援助(主に医療費問題の援助)が中心でした。その後、社会復帰をテーマに治療をしている医療機関に転職しました。 これが大きな契機となり、精神障害者の社会復帰をめざすための施設、事業所に出向しました。
 こうした経験と当事者とのかかわりからの体験などを講義の中に、盛り込みながらお話させていただいております。
 現在は、精神保健福祉士の養成に携わっていますが、ライフワークとしては、精神障害者の社会復帰をテーマとし、障害者に住みよい街づくりについて当事者や支援者の仲間と取り組んでいます。 また、こうした活動に共感する学生には、ボランティアなどでかかわる機会を提供しているところであります。

石田: 先生は「精神疾患のある児童・生徒への精神保健福祉士としての対応」についても研究されておりますね。私も東京のアロマテラピー研究所の招待で「複雑多様化する日本の現代社会でなぜ愛着障害が増えているか」 と題して講演をしたこともあり、大変興味がありますので、前述の研究テーマはどういったことを進められていますか。

葛西: 現在、病弱の児童生徒を中心とした特別支援学校では、精神疾患を抱える児童生徒が全体の約70%を占めています。統合失調症をはじめ、解離性障害、強迫性障害、パーソナリティ障害、反応性うつ病などであります。 また、精神疾患のある児童生徒は、長期の治療を必要とするため在籍が長期化し卒業に至る傾向にあります。国立特殊教育総合研究所発行のガイドブックでは「心身症や情緒及び行動の障害を伴う不登校の経験をもつ児童生徒に対して、 将来の自立、社会参加に向けた支援の視点が重要であること、そのためには、専門機関や専門家間の連携による支援が重要であり、子ども個人への支援の在り方や家庭、学校、地域への支援のあり方など構造化・階層化された支援が必要である。」としています。
 そこで、私のソーシャルワーカーとしての経験から、学校、医療機関そして親御さんと三者が互いに情報を共有しながら、役割を確認し合い連携を超えた融合という形で児童生徒にかかわる。これにより、児童生徒が自ら主体的に疾病・障害を理解し、 対応することが「生きる力」、「自立活動」そのものと考えました。
 そこで、精神疾患のある児童生徒の「生きる力」、「自立活動」をはぐくむ指導内容・方法について共同研究や臨床現場の経験などをもとに研究したものであります。

石田:貴重なお話を頂きありがとうございました。最後に、葛西先生の最近の研究成果を教えて頂けますか。

葛西: 本学社会福祉学部研究紀要等に以下の論文を書いております。
1.「精神保健福祉士の専門職の専門職論-精神保健福祉士の専門職性要件-」
 (単著、弘前学院大学社会福祉学部研究紀要第10号2010)
2.「精神疾患のある児童生徒への対応に関する経験的考察」
 (単著、同大学社会福祉学部研究紀要第11号2011)
3.「精神障害者の地域移行支援の今日的課題」~青森県精神障害者アウトリーチ事業 評価検討委員会を通して~
 (単著、同大学社会福祉学部研究紀要第14号2014)
4.「専門職の能力と組織―福祉・看護・教育の三分野からー」
 (同大学地域総合文化研究所『地域学』12巻2016)
5.「精神障害者家族に対するリカバリー支援の文献的考察」~これからの家族支援の  あり方についての検討~ 
 (単著、同大学社会福祉学部研究紀要第17号2017)

石田:引き続き頑張ってください。

葛西:ありがとうございました。

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