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英米文学

英米文学に触れることの意義とは?

 英語・英米文学科では、イギリスやアメリカの文学を読んだり味わったりする授業が一つの柱となっています。
 文学作品を読む意味はどんなところにあるのでしょうか?
 イギリス文学の一番古い時代から近現代に至るまでの歴史を、最初に通時的に書いたフランス人のヒポリト・テーヌは次のように述べました。

“A literary work is not a mere play of the imagination, an isolated caprice of an excited
 brain, but a transcript of contemporary manners and customs and the sign of a
 particular state of intellect."

「文学作品は単なる想像の遊びや興奮した脳から生まれ出た突発的な気まぐれなのではなく、
 その作品が書かれた時代の振舞い方や習慣を映し出すものであり、知性のある特別な状態を
 指し示すものである。」

 テーヌの説明にもあるように、文学作品を読むことを通して、私たちはその時代時代の人々の習慣、暮らし、嗜好、物の考え方など様々なことを知ることが出来ます。同時に、文学作品を読むことを通して知らされるのは、日本人としてのあるいは人間としての自分の姿です。私たち日本人の習慣、暮らし、嗜好、物の考え方は、文学作品に描かれている世界とはどのように異なっているのか、同じなのかを考えさせられるでしょう。

英米文学の科目内容

 英米文学に関する科目は、まず英米文学作品についての知識を大まかに学ぶ
「英米文学概論」、「イギリス文学史」、「アメリカ文学史」があります。
 また、個々の作品を詳しく味わうことを目的とした「イギリス近現代文学」、
「アメリカ近現代文学」、「Shakespeare in Performance」があります。
 さらに、学生それぞれが選んだ作品を興味のある切り口(例えば、繰り返し
現れるイメージやジェンダー・階級・イデオロギーなど)から分析して発表し、
フィードバックをもらいながらエッセイにしていく演習形式の授業の「英米文学
演習」が設けられています。

 少し詳しく見ていきましょう。

 「英米文学概論」では、チョーサー、シェイクスピア、ベーコンやディケンズ等の作品を英語で読んでいきます。作品を通して、イギリス人とはどのような人たちであるのかを知ることになるでしょう。それはまた、人間とは何か、という問いかけに対して考える良いチャンスです。

 「アメリカ近現代文学」では、アメリカ文学の原典(小説)を使用し、年間にいくつかの原典作品を丁寧に精読し、その内容の問題点、謎めいた所を深く探求していきます。「文学」の謎解きの面白さ、楽しさ、さらには「文学」の寛容さ、曖昧さを味わってもらいたいと考えています。

 「イギリス文学史」では、ハリーポッターやピーターラビット等の子供の頃に接する児童文学から始めて、それらに現れるテーマがイギリス文学史の作品に登場する小説・詩・演劇にどのように変奏されているかを見ていきます。それと並行して、イギリスのケルト文化から始まって、アングロサクソン人の文化、中世時代の文化、ルネサンスの文化、モダニズムの文化を各時代の作品を通して見ていきます。この授業では、英語で書かれた文学史の本を読んでいくので、英文の読解と必要事項の調査が必要となります。通常の作品・作家の羅列による受動型の文学史ではなく、自分で調べることで時代背景や作家間の影響が見えてくる仕掛けとなっています。

 「Shakespeare in Performance」では、シェイクスピアの一作品を選び、その映画化または舞台化されたものを鑑賞します。その後、興味深いシーンを選び、原典と日本語の対訳を照らし合わせながら、意味の解釈・言葉の使い方・英語のリズムについて見ていきます。必要に応じて、歴史的背景や文化的背景の解説もします。ある程度の理解が出来た後に、何度も英語の読みを重ね、実際に演じてみることを目指します。シェイクスピアの作品の文化的背景を理解し、シェイクスピアの言葉の美しさを体感出来ます。また、パフォーマンスを通して、英語のスピーキングの練習、コミュニケーション力のアップ、創作意欲のアップを目的としています。

英米文学の魅力とは?

 英米文学の過去の作品に触れ味わうことは、その時代時代のイギリス人やアメリカ人の物の考え方や価値観に触れることです。そして、そこから見えてくる価値観と私たち人間の価値観とを比較してみましょう。
 その試みはすでにイギリス人、アメリカ人、日本人といった国の国境線を越えて、「人間とはなにか?」という普遍的問題と向き合うことなのです。「人間とはなにか?」を解明するために自分自身の姿を映す「鏡」として文学作品を考えてみましょう。

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