2023(令和5)年4月5日(水曜日)午前10時より
学長 藁科 勝之
昨年にも増して例年にない大雪でしたが、雪解けも早く、桜も過去最速に開花が迫る中、弘前学院大学に、新たに若い皆さんをお迎えできたことを、大変嬉しく思います。
皆さん、御入学、おめでとうございます。 本年度の入学手続者は、以下のとおりであります。 ・文学部80名、うち、英語・英米文学科30名、日本語・日本文学科50名。 社会福祉学部・社会福祉学科45名。看護学部・看護学科45名。 ・大学院―社会福祉学研究科1名、文学研究科1名 総計、172名の皆さんをお迎えすることができました。
新型コロナの感染は、もうこれで4年目になりますが、この弘前において、完全に収束に向かっているとは言えない状況ですので、前年度・一昨年度と同様、保護者の皆様、来賓の方々には、リモートでご覧いただくこととし、このように、皆さんと教職員のみの入学式となりました。
さて、皆さんは、この3年間の高校生活は、コロナ感染の中で、必ずしも自由とは言えない生活環境、勉学状況であったと思いますが、我々大学も同様でした。 しかしその中にあっても、皆さんの先輩方は、このコロナ禍にもかかわらず、勉学等に着実な成果を挙げております。就職率も9割超であり、また、ある国家資格の受験結果で、近隣の東北の大学と合格率の上位を争っています。よく頑張ったと言えます。 コロナが沈静化しつつあるものの、皆さんも、保護者・関係者の方々も、まだご心配かと存じますが、本学の授業・教育態勢は、今後も変わらず慎重かつ着実に進めて参りますので、どうかご安心ください。
青森県には、短期大学を含めて15の大学があって、北東北三県の中でも一番多いのですが、その青森県の中で、最も古い歴史と伝統を誇るのがこの弘前学院です。 弘前学院は、本多庸一(津軽藩藩校の稽古館の取締役)によって明治19年に設立され、キリスト教の精神を基に「畏神愛人」を弘前学院の建学の精神としました。弘前学院は、その母体が創設されて、今年で137年になります。 弘前学院大学の教育理念と教育方針は、「キリスト教信仰にもとづく教育をめざし、神の前に真実に生き、真理を謙虚に追求し、つつしんで神の御言葉を聞き、すべての人を大切にする畏神愛人の精神をもって、すべての人と社会とに対する責任を、積極的に果たす人間の形成」ということを目的としています。これがスクール・モットーです。 そして、こうした認識に基づいて、「自ら問題を発見し解決する知恵と力をもつ人材を育成する」としています。
さて、これから大学生活が始まるわけですが、では大学での学びとは、どういうものなのか? 大学での4年間の学修―これを、学士課程と言います。ここで「学士」という言葉が使われます。学士とは、学位の1つで、その学位には、学士、修士、博士という3種類がありますが、その中の最初の大学4年間の学修で得るものが「学士」という学位です。そして、その勉学の中で養われる力を「学士力」と言います。
ではこの「学士力」とはどんな力か?おおむね4つ、挙げられております。 1つ目は「知識・理解」の力です。これはすぐ分かりますね。これは最も基本的なもので、知識・理解力がないと何もできません。これが基盤です。無から有は生じないのです。 2つ目は「汎用的技能」と言われる能力で、この「汎用的」とはどういうものかと言いますと、ある特定の範囲とか分野に使えるというものではなくて、種々、様々な分野や領域にも通じて使える技とか能力・スキルのことを言います。 具体的に、どういうものかと言いますと、コミュニケーションスキル、数量的スキル、情報リテラシー、論理的思考力、問題解決能力、などですが、これらは、職業生活や、社会生活でも必要とされる技能・スキルですね。 そして、3つ目は「態度・志向性」と言われますが、具体的には、自己管理、チームワーク、リーダーシップ、倫理観、社会的責任、生涯学習力、といった力を身に付けること。 そして、4つ目が、総合的な学習経験と創造的思考力と言われるもので、これらの3つを統合して、何物かを創り上げて行く力です。
ところで、今、取りあげた、コミュニケーションスキル、チームワーク、倫理観、社会的責任などについて、これらは大学の授業、大学内での諸々の活動で身に付けることはできますが、その一方で、ボランティアに参加した、地域のお祭りに参加したとか、部活をやった、そのマネジメントをやった、アルバイトをやった、など、大学の授業以外での活動でも、こうした力を培うにあたっては、かなり有効ですね。 また、この弘前は、学園都市すなわち「学都ひろさき」と呼ばれ、ここには、市内の5大学で結成された「大学コンソーシアム学都ひろさき」と言う連携組織があり、相互に連携していますが、その組織の活動への参加も有益であるし、効果的です。
皆さん、大学生活を始めるにあたって4年後の自分の姿というものを、イメージしてください。 4年後にどうなっていたいか?ということです。漠然とでもかまいません。自分が何を目指したいのか、これを意識してみてください。 そのイメージした姿の実現を目指して、これからの学園生活を始めましょう。
私たちは、皆さんの「学び」に期待しております。 これを、皆さんの歓迎とお祝いのことばといたします。 御入学、おめでとうございます。